1.戦後の少年少女雑誌、月刊誌時代

(採録期間:昭和20年 1945年~昭和37年 1962年)

NDL(国立国会図書館)の欠落を補ったのが、この書誌データベースである。まずはNDL所蔵の各誌・各号に目を通して採録、並行して未所蔵の各誌・各号の所蔵先を見つけ出し採録の作業となる。
採録を始めたのは1976年からで、当時は、漫画単行本に関しては高木書誌が作成中、数年後に日高書誌が刊行されるが、少年少女雑誌は、『少年倶楽部』講談社書誌、数年後刊行の『漫画少年』寺田書誌、この位であった。この数百誌が刊行されたと思われる戦後月刊誌時代の各誌・各号を捜し求め、採録するのには多大な時間を要したが、未知の雑誌・著者・掲載作品の発見や、連載作品の開始時・終了時・未完を着き止める事が出来た喜びから続ける事が出来た。
既存書誌は目次同様、誌名・巻号・作品名・著者名の列挙型が主であるが、このDBは、雑誌は編集長の作品であるという観点から、原本に明記される事が稀な編集者名も関係者への取材を行い記載した。
出版美術・漫画研究の基礎資料としての役割外にも、いろいろ使い道があると思うので、ご笑覧願いたい。
このDBは更新されるので、誤記の修正を含め、今後も未見の各誌・各号の調査、採録は続く。

三谷薫
日本児童文学学会
日本出版美術研究会
編集協力・1987年「子どもの昭和史:昭和20年-35年」(別冊太陽)平凡社
共編・2008年「山川惣治」(らんぷの本)河出書房新社

2.少年・青年雑誌、週刊誌時代

(採録期間:昭和30年 1955年~平成29年 2017年)

20数年前、マンガ表現の研究を始めたころ、古い作品に面白い表現を見つけても、それがいったいいつ発表されたものかを調べるのに、さらにもう一苦労しなければならなかった。当時から一部でマンガ作品のデータベースは作られていたが、一つにまとめられたものはなく(勉強不足だったのかもしれないが)、マンガ研究自体まだなく、当然、研究のための情報などないので、どのようなデータがどこにあるのかは経験に頼らなければならなかった。
こういった状況を経験し、作品ベースでルーズリーフで手書きのデータを取り始めた。ノート一枚に一作品の情報を書き込んでいき、バインダーで50冊弱程度のデータを集めはしたが、当然ながらこの方法では検索性に劣る。
ちょうどそんなことに悩んでいるころ、Windows95の発売を継起としたパソコンの普及があり、コンピュータを使って、雑誌一冊単位でデータを集めることにした。
コンピュータに関しては全くの素人だったが、雑誌の内容をすべてのページを点検して入力する労力はわかっているつもりだったので、入力しやすく、間違いを訂正しやすくして、入力の手間をいかに省くかに工夫をこらしてきたつもりである。
当然のごとくデータベースは、正確なデータが多く集まれば集まるほどよい。現在のマンガのデータは膨大すぎ、今後も増え続けていくため、一人で集めるのは最初から不可能である。しかし、不可能だからといって何もしなければ、マンガ研究の土台となるべきデータの集積がいつまでたっても整わないということになる。
今回、「少年少女雑誌データベース」として三谷氏と私のデータが公開されることにより、継続的にマンガのデータを集積するシステムが整備されていくことを願っている。

秋田孝宏
1965年生まれ
早稲田大学大学院修士課程修了
日本マンガ学会理事
川崎市市民ミュージアム臨時職員
東京工芸大学、日本工学院専門学校、日本デザイナー学院、東京綜合写真専門学校非常勤講師
専門は漫画の理論とデータベース
著書『「コマ」から「フィルム」へ』(NTT出版)
『アジアMANGAサミット』(共著・子どもの未来社)
主な論文「漫画の動きと二次元的時空間」(『映像学』第42号)
「インターネットにおけるマンガの展望」(『立命館言語文化研究』13巻1号)
「日本における漫画の保存と利用」(共著・ 『カレントアウェアネス』No.293)など